痛みといっても、色々な原因があります。大きく分けると3つに分けられていて、①侵害受容器性疼痛(体の危険を知らせる役割)、②神経障害性疼痛(なんらかの原因で神経が障害)、③どちらにも属さない心因性の疼痛があります。
①体の危険を知らせる役割の侵害受容器性疼痛
切り傷、打撲、捻挫、骨折などケガしたときに発生する発痛(炎症)物質が、末梢神経の侵害受容器を刺激して痛みを感じます。
頭痛・歯痛・リウマチや変形性関節症なども侵害受容器の刺激により痛みます。この痛みは人間にとって大切な生命保存のシステムです。これがなくては体が危険な状態でも知らずに死に至ります。(痛み方:受傷すぐは鋭い強い痛み、しばらくすると重たいズーンジーン)
②何らかの原因で神経に障害される神経障害性疼痛
傷や損傷がないにも関わらず痛みを感じるものを神経障害性疼痛と言います。帯状疱疹(水痘帯状痘疹ウィルスが原因)後の長引く痛みや糖尿病の合併症に伴う痛み、坐骨神経痛や頚椎症など神経圧迫による痛みなどです。日本では40代で660万人以上と推定されます。(痛み方:鋭い強いズキズキ、弱い鈍い鈍痛、ピリピリ、ヒリヒリ)
参考:糖尿病の神経障害初期に現れる症状
③侵害受容器性や神経障害性に属さない痛み
心因性とも呼ばれ心療内科を受診されて精神安定剤を処方されたりする方がいます。原因はわからないのですが、最近ではモヤモヤ血管(新生血管)の発生説や脳の認知異常(誤認:関連痛)説がありますが、未だに解明されていない分野です。線維筋痛症などはこの部分に分類されています。なにかに夢中になっているときは感じないことがあるようです。(痛み方:ピリピリ、しくしくなど強い痛みでなく弱く持続する違和感とも表現する人がいます)
モヤモヤ血管(運動器系カテーテル治療をする場合があり、痛めた部位に新たに血管が作られるのですが、神経も一緒にできるため、痛みを感じやすくなる。)
脳の認知異常(関連痛など痛む部位周辺に障害があり、隣接する神経が興奮して脳に伝えるために起こる。)
痛みの慢性化
1か月以内に治まる痛みはA「急性の痛み」で、3か月~6か月以上痛みが続くものはB「慢性の痛」となります。
A急性の痛み
急性の痛みは、原因である怪我や損傷部位が修復されれば痛みは消えてなくなります。不十分な治療や放置は「慢性の痛み」に変化していきます。
B慢性の痛み
通常は炎症期して修復期、そして回復期を経て順調に治り痛みが消えますが、不十分な治療などで治癒過程が上手く進まない場合に、組織の変性(瘢痕)などが強く残り痛みを発生させます。痛みは交感神経を興奮させるため、血管を収縮させて血流や酸素がいかなくなります。酸素不足では発痛物質が生産され、侵害受容器を刺激して痛みを起こします。痛み(発痛物質)は交感神経を興奮させて血管を収縮させるため、さらに血流と酸素不足が発生する悪循環を起こします。交感神経が関係してくるため、ストレスや不安・心配・怖れなどの感情にも影響されて痛みは強くなったり弱くなったり
私の考え(痛覚過敏の問題)
長期的に痛みを抱えている方は、急性の痛み(侵害受容器性疼痛・神経障害性疼痛)から慢性の痛みに移行する場合と、痛みが続くことで脳の痛みを抑える神経系統が弱くなり、普通痛みと感じないものを痛みと感じてしまう(痛覚過敏)と考えています。この場合は、感情に影響されて痛みが強弱します。ストレス(不安・悲しみ・寂しさ・恐怖)が強いと痛みが強くなり、痛む場所も日によって変わってきます。その逆に、夢中になっているときや好きなことを楽しいことをしているときは痛みを感じていないことが多くあります。
このような方は、痛みに敏感となり必要以上に庇い守るため、痛む部位がさらに弱くなっていき、症状が難治化していきます。
痛覚過敏を乗り越える方法
解決方法は、日々の生活パターンを整えて自分自身に仕事を与えていくことです。最初は痛くて苦痛ですが、やることをやり続けることで、少しずつ痛みにも慣れてきて忘れることが多くなり、次第に痛みから解放されていきます。
一番いけないことは、怪我と違い安静(過保護)は逆効果です。強く言わせていただくと「死ぬ」わけではないため安心して痛みを味わいながら動くことです。(急激に行うと逆効果だから徐々にですが)
できれば好きなこと楽しいことを探して動くといいですね。しかし、人生は楽しい嬉しいことばかりではないから、最終的には心を強く鍛えていくことが必要です。(急ではなく徐々にです。)
出来ることからやっていきましょう。成功のポイントは最初から高い位置を目指さずに階段を上るようにです。前進を決めた時から後退は食い止められたのだから、後は少しずつ前に進めばいいのです。